8月12日
「さあ、よく考えて。私に手を貸してくれることは出来ないの?」
「あなたの手を借りたいの、あの亡骸を抱きあげるために」
今日も12時過ぎから新宿を歩く。これで3日連続です。
新宿にいると、もしかしたら『アンティゴネー』を買ったあの人に出逢えるのではないかと期待してしまいます。
夕方、今日は彼女はいないのかなと諦めて、私はお腹が空いたので家に帰ろうと新宿駅に向かいました。
そして駅前の遊歩道にあるエスカレーターを下り顔を上げると、目の前になんとあの彼女がいたのです。
私はしばらくの間立ち止まってしまいました。
何十秒か、何分か、はっきりした時間は分かりませんが、私は彼女をみつめていました。
すると彼女が私に気づいて、確かに私を見かえしてきたのです。
彼女はそれを見て、目の前を通りすぎていく。
彼女が去ったあと、私は急に笑いが堪えきれなくなりました。
頭のなかで様々な想像がめぐる。
私は彼女を主人公にした作品を作りたい。
いや、もう既に作っている最中なのだ。