8月28日
海について考える。
私が生まれ育った所のすぐそばには海があります。それはどんよりとして、静かに波立っている。私の両親が幼いころには周りの大人達から一人でその海には近づいたらいけないと言われていたらしい。けれど、私がいたころにはもうそのような事をいう人もなく、よく一人で遊びました。
海のことを考えながらアンティゴネーについて書いている。もちろん、雲雀うめ美のことも。
雲雀うめ美があのもの寂しい海岸に立っている。なぜだろう。すごく近くにいるのに決して近寄れない。どこまで歩いても彼女の姿は一定のままだ。彼女は何か叫んでいる。彼女の声が聞きたい。じっと耳を澄ます。
でも風の音によってかき消されてしまう。私は一生、彼女の声を聞くことはできないのだろうか。彼女の微かな声を聞き取ることから物語を始めようと思う。