9月22日
何をするでもなく、ひとり福島に残っている私がいる。
あの時、劇団員が襲ってきたとき、雲雀さんは私の目の前にいた。でも、地面に散らばった私の戯曲を拾ってくれた人の中には雲雀さんの姿は無かった。
気がついたら、雲雀さんはいなかった。
雲雀さんはあのとき、私が倒されるのをただ眺めていたのか。
私のアンティゴネーを、手に取ろうともしなかったのか。
福島に来てからずっと、なぜか雲雀さんが遠く感じられた。
上演中も、それ以外のときも。
それは今までとは違う、近づけない遠さのように思えた。なんというか、怖ろしさと底なしの寂しさが彼女にはあった。
でも、駅での雲雀さんの態度は、また違った意味で私を突き離した。
もう私にはどうすればいいのか分からない。
これからの事も。今現在の事も。