ikiune diary 日々の出来事

息畝実/イキウネミノルが、その日見たり感じたことを綴ります。

10月14日

第三幕の最後、アンティゴネーであることに目覚めた芋名賀りえは母への手紙を海に投げる。これは第一幕のアンティゴネーとイスメネの海辺のシーンでもある。

既に死者の国にいる母に向けて書いた手紙。
ここでの母は何を意味するのだろうか。
 
アンティゴネーにとってのイオカステは世間での常識的な「母」にはおさまらない。
また、ここでは芋名賀りえときえの母親とみることもできるだろう。南相馬に住んでいる二人の若い女たちの私事から始まるのが第三幕の肝だから。
彼女はその「母」への手紙の入った壜を投げる。つまり投壜書簡だ。
これは注目されるべき点である。
私は考える。

アンティゴネーは誰に向けて母への手紙を送ったのでしょうか。


私は、ここでの手紙の宛先はイオカステのみを指すものではないように思います。  

「母」になれなかったアンティゴネーにとって「母」とは何だったのか、ということ。また、どうしてアンティゴネーは「母」になれなかったのか。

それに南相馬に住む、芋名賀りえにとっての「母」。


 

アンティゴネーはどこにいったのか。

この手紙はどこに漂着するのか。

そして、読むのは誰なのか。
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