10月8日
今日は取材というか、もう一度飯館から避難している女性にインタビューしにいった。家を追われるとはどういう事か再び深く知りたくなった。もう一度、電車に乗り仮設住宅へ向かいます。
着いてから、この前もらった電話番号にかけてみました。二度かけて出なかったので、仮設の周りを一周ゆっくりまわる。元学校だったこのスペースには二宮金次郎の像や校庭のフェンスが残っている。
その後、入口のすぐ横のベンチに座って着信を待つ。1時間くらい経った頃だろうか、もう一度かけ直してみる。すると、あの飯館の女性の声がします。私はこの前会ったものですと言い、もう一度インタビューをさせてくれないか、と申し出ました。
「今、飯館の家いるから、もう少し待ってくれないか」と言われました。彼女は二週間に一度、家に風を通しにいくらしい。
もう一度、家に上げてくれ、お茶までいただいてしまった。
また飯館の現状や彼女自身の来歴について聞く。お家の人があるTVの投稿番組に出た時の話をしてくれました。
それは、家の下のガードレールからある瞬間にコーンという甲高い音がする現象を紹介したものらしい。
その時、県外からも大勢のひとがやって来て何の変哲もないガードレールに人だかりができたと言います。
けれど、今、飯舘村に住んでいる人はいません。
私はそのガードレールの人だかりが幻だったかのような印象を受けました。あるいは絵本のようなおとぎ話の世界です。勿論、本人から聞いているのだから間違いのないはずなのですが。
私の頭の中では勝手にガードレールの音が聞こえます。見たこともないガードレールから聞いたことのない音が聞こえます。
その音に耳を澄ますことで、飯館と繋がれる、気がしました。