ikiune diary 日々の出来事

息畝実/イキウネミノルが、その日見たり感じたことを綴ります。

10月30日

いわき駅から夜の八時ころに出る東京行きのバスに乗った。 今、新宿にいる。 バスに乗る前に、広野駅まで行って周辺を少し歩いた。 駅の近くに学校のような建物があったので行ってみると中学生くらいの学生の姿が窓から見えた。吹奏楽の部活動中。 体育館か…

10月29日

朝6時半発のいわき行きのバスに乗った。二時間ほどで駅まえに到着。 いわき駅周辺を歩く。通学や通勤する人たちと同じ時間帯。 それから海側の町まで出ているバスに乗った。思っていたよりも海まで遠く、料金も高い。 でも、海に向かう理由が特に何かあった…

10月26日

私は旅行者なのか。 いや、それは違う気がする。ではどう違うのか。 私はこれを旅だとは思っていない。というか思えない。 それはまだ終わってないから?東京に戻ったらこの一ヶ月半の日々が旅であったことを実感するのだろうか。どちらにせよ気分の問題なの…

10月21日

休めそうな場所を探していると、駅から少し離れたところにカラオケボックスがあったので、そこに入り5時まで寝る。かえって疲れた気がした。肩が凝って痛い。頭が重い。 外に出ると寒かった。 暖房のきいた駅の構内の椅子に座り、バスの始発までの時間が過ぎ…

10月20日

郡山に着いた。駅の前の商店街にはスーツを着た男たちが通行人に声をかけている。路上で話している若い人も多い。この辺りは繁華街のようだ。 夜の9時頃に、アパートの管理会社から留守番電話が残されていた。 「至急、連絡をください」という早口の音声。 …

飯舘村

スーパーマン

Googleのニュースを見ていると、それが遠い国のニュースを聞いているような気分になる。 スーパーマンが会社を辞めたらしい。マスメディアの堕落について批判をしていた。 何かを書くことの正義について考えている。ある批評家が正義は歴史から逃れられない…

10月16日

天気がいい。 早朝、宿の前のバス停からバスに乗り、20分ほどの松川浦という海沿いの町で降りる。 朝の9時前なのに釣りをしている人が大勢いる。船も4~5台、音を立てて出航していった。 さっきから何匹も大きな魚を釣っている人がいる。この時期はみな鮭を…

愛について

アンティゴネー 私は憎しみあうようには生まれついてはおりません。愛しあうだけです。 クレオーン 愛しあわねばならんと申すなら、あの世へ行って亡者どもを愛すればよかろう。余の目の黒いうちは、女の思うようにはさせぬぞ。 上野で吉本ミカが、愛は重荷…

10月15日

日差しが眩しい。これから私はずっと、こんな状態でいなくてはならないのか。何故、こうなってしまったのか? たまに、嫌な妄想にかられる。最近特に。 原ノ町駅には11時より前に着いたけど、11時代に乗れる電車がなかった。 隣の図書館で時間をつぶそうと思…

10月15日

もう戯曲を書くのをやめます。 何ひとつ私の思い通りにならなかった。 誰も私を相手にしない。 信頼しあえる友達も話せる仲間もいない。 私にソフォクレスみたいな戯曲を書く才能なんてない。 深夜0時、部屋のTVには海外のF1レーサーのドキュメンタリーが…

10月14日

第三幕の最後、アンティゴネーであることに目覚めた芋名賀りえは母への手紙を海に投げる。これは第一幕のアンティゴネーとイスメネの海辺のシーンでもある。 既に死者の国にいる母に向けて書いた手紙。 ここでの母は何を意味するのだろうか。 アンティゴネー…

10月14日

炉粗純。 あの劇団員は何者だろう。名前もどことなく怪しい。 演技らしい演技は見たことないが恐らく大根だろう。いや、大根に違いない。彼には大根役者という役を与えてやろう。それこそ適役だ。 そして、息も絶え絶えに、広大なグラウンドのようなところで…

10月14日

カメラで撮っている映像と現実に私が見ているものとの差異について考える。カメラのフレームに入った時点でどこを切り取るかという選択に私たちは迫られている。 彼女たちは喫茶店を営んでいる。 設定と台詞について手帳にメモをしながら考える。絵にしてみ…

10月13日

まず、これが芋名賀姉妹の喫茶店です。小さいながらも地元の人からは評判がよく、常連客が通います。 芋名賀姉妹は姉がりえ、妹がきえ。 彼女たちは震災の影響で両親を亡くして、今は二人で、この南相馬で暮らしています。 第三幕において、ある日、彼女たち…

10月13日

2日間だけ世話になったゲストハウスATOMAを出て、福島駅から午前9時30分発のバスに乗る。 途中で飯館村をバスが通る。ここは通り過ぎるだけで降りられないが、ここのどこかに仮設住宅のおばさんが暮らしていた家と例のガードレールがある。 昼前に原町の駅…

10月12日

第三幕は、境界をのりこえる。 これによって息畝版アンティゴネーはあらゆる境界を横断するだろう。 試写/死者 映画/演劇 戯曲/上演 過去/未来 雲雀うめ美/アンティゴネー 福島/東京 それは、これらの境界に揺さぶりをもたらし、新たな可能性が開かれ…

10月8日

今日は取材というか、もう一度飯館から避難している女性にインタビューしにいった。家を追われるとはどういう事か再び深く知りたくなった。もう一度、電車に乗り仮設住宅へ向かいます。 着いてから、この前もらった電話番号にかけてみました。二度かけて出な…

10月6日

今日は、会津若松の駅からバスで20〜30分の塩川という町にいます。昼頃から夕方まで会津若松駅の周辺をすこし歩いてまわった。休日で、しかも祭りが催されていていたため人が大勢いました。ただ、アンティゴネーは見つからない。福島に来てから、しばらく時…

10月4日

ふと思った。桑原さなえは、毎日をどのように暮らしているのだろうか。住所不定と書かれた紙を配って、泊めてくれる人がいたら、そこに泊まったりするのだろうか。いつも、そのようにして転々とどこかに移動しているのかもしれない。住所不定ということは、…

10月3日

福島に滞在しながら考えを巡らしています。アンティゴネーのこと、私が書いている戯曲のこと。書けない時は苦しく途中挫けそうになります。それでも何とか書き進めようと思う。その繰り返しです。本屋に立ち寄り、本をぱらぱら捲っていたら、ブラッドベリに…

9月29日

私は南相馬の海辺を歩く。 陽射しをまともにうける。漂流したものが砂浜にうちあがっている。 背後には草が生茂っていて、所々に大きな水溜りがある。堤防には私と親子2人がいた。高く激しい波がブロックに当たり白い波飛沫があがっていた。 アンティゴネー…

9月27日

昨日から少し体調を崩している。今、私は南相馬にいます。 午後、福島駅からバスに乗って移動。 原ノ町駅の前に着くと、辺りは暗くなりかけだった。 泊まる宿を探すと、どこも既にいっぱいらしく断られる。 ひとつだけ。夜の7時になるまで分からないが、空き…

9月23日

一日中、雨が降り続く。 朝、宿を出てバスに乗り福島駅で降りました。そのまま何もせず時間が過ぎる。 昼すぎ、駅の近くで、私の前を白い服を着た女性が通っていった。 はじめは誰だか気がつかなかったけど、すぐに思い出した。 デモのあった日に「桑原さな…

9月22日

何をするでもなく、ひとり福島に残っている私がいる。 あの時、劇団員が襲ってきたとき、雲雀さんは私の目の前にいた。でも、地面に散らばった私の戯曲を拾ってくれた人の中には雲雀さんの姿は無かった。 気がついたら、雲雀さんはいなかった。 雲雀さんはあ…

9月21日

私は彼らの後を追うようにしてバスへ乗った。 荷物をまとめて福島へと向かった。 福島。彼女たちの劇団はその土地に何を求めているのか。 彼女たちはどのような術でその土地の嘆きを埋葬できるのか。 私がこの目で確認してみよう。 私こそがその劇に立ち会う…

9月19日

背の高い男優を振り切った後、久々に昔のバイト先の近くを通った。かつての職場は、西新宿のビル群に囲まれ、ビジネスマン達が闊歩する。その均質さに眩暈がし、少し吐き気もした。いつ行っても変わらない、灰色の景色。そのあと、興奮したまま、あの演出家…

9月18日

独断と偏見によってアンティゴネーの魂がからめとられている。つまり、雲雀うめ美の魂もだ。私には黙って見過ごすことはできない。そんな事は耐えられない。あの演出家が作るアンティゴネーにどのような価値を見出せるのか。今、私や雲雀さんは堅固な壁に直…

9月16日

雲雀さんの劇団の演出家の方からメールが来た。明日、新宿で演説をするらしい。この前渡した戯曲のこと、この前送ったメールに対する返答みたいです。とにかく行ってみるしかない。雲雀さんにどうにかして繋がるには事を起こすしかないだろう。私は私の使命…

9月14日

窓から外の白い光がうっすらと確認できる。朝です。眠ってる間に夢をみました。けど、どんな夢だったのかは覚えていない。そんな夢はどこにいくのだろうか。そのような夢が溜まっている場所がどこかにあるのだろうか。ただ唯一、波の音と混ざって頭に響いて…